少年ハリウッド20話をとんでもない神回にした、「甘木生馬」という人間の魅力。

少年ハリウッド -HOLLY STAGE FOR 50- 第20話「僕たちの延命」が素晴らしすぎた。「少ハリには神回以外存在しない」という前提条件を踏まえた上で、わたしは敢えて言いたい。20話はとんでもない神回だった。
20話のあらすじは、一言でいえば「センター交代」という、アイドルにとって非常に重要なテーマを扱っている。
少年ハリウッドは結成してからこれまで、最年長のマッキーこと甘木生馬がリーダー兼センターとして活動していた。1話から今回の20話までの約1年半、マッキーは不器用ながらも手探りでセンターに立ち続けて来た。
赤の他人と突然グループを組まされ、一緒に歌って踊るようになった少年ハリウッドの5人。しかしいつしか、それが当たり前になった。アイドルという普通じゃない生活が、5人にとっては普通になっていた。

そんな時にシャチョウから突然センター変更を告げられる。これから数日の振る舞いで誰をセンターにするか決めるというシャチョウの言葉に、待ってましたとやる気満々のメンバーから、マッキーへの申し訳なさでセンターをやりたいと素直に口に出せないメンバーまで反応は様々だった。

そしてシャチョウの口から告げられた新しいセンターは、最もセンターというポジションに対して消極的だった風見颯(カケル)。そんなカケルに、マッキーは頑張れと声を掛ける。その様子を見たシャチョウは、マッキーに問いかける。
「あなたの本当の気持ちが知りたい」と-。
EDを見るまでは気付かなかったが、これはセンター交代でいよいよ主人公のカケルにスポットが当たる!という内容ではなく、これまで(表向きは)何となくでセンターに選ばれたマッキーが、アイドルという自分の居場所を“センター”というポジションに見出していたことに初めて気付き、それと同時にその大切な居場所を失ってしまった悔しさを得たことで、他のメンバーにはない“輝き”を手にするというマッキーを主役にした物語だったのだ。
あらすじで既に結構な文字数を使ってしまったが、本題はここからである。わたしがなぜこの20話を“とんでもない神回”と自信を持って宣言するのか。
作中でマッキーが話しているが、彼らは少年ハリウッドになるまではごく普通の少年だった。それがある日突然スカウトされてアイドルになった。
少年ハリウッドには初代がいるものの、15年前の話であって“新生”の彼らは初代が現役だった頃を知らない。だからお手本にする背中がないままに、彼らは手探りで活動して来た。そんなアイドルの“ア”の字も分からない状況で、センターに立ち続けて来たマッキーにはどれだけのプレッシャーや苦悩があったのだろう。
普段おちゃらけていたりすることが多いマッキーだが、その裏では友達や家族との確執を抱え、学校を辞め、実家を出てひとり暮らしをして自分の居場所を探していたという過去を持つ。
メンバーの中で最もダンスが苦手で、デビューライブの前には劇場に泊まり込みをして練習したり、チケットが全く売れない時にたったひとりで手作りのチラシを配ったりと影の努力者でもある。
他のメンバーと違って、マッキーは少年ハリウッドを辞めても普通の学生に戻ることは出来ない。家族とも距離を置いている。だから、今のマッキーにとって少年ハリウッドというのは、きっと絶対になくしたくない居場所なんだろうと思う。その居場所の象徴や覚悟としてのセンター。
それをマッキーは、カケルに交代させられるまで気付かなかった。失って、初めて気付いた。その悔しさから流した涙を見た瞬間、わたしは声を上げて泣いた。それと同時に、その涙をとても美しいと思った。19歳という、大人のレッテルを貼られる場所に片足を突っ込んだ少年の涙がこんなにも美しいことを、わたしは初めて知った。
最年長のマッキーが、目元と鼻を赤くして悔しいと本音を漏らして泣く姿。そんな今までに見たことのないマッキーの姿を見て、センターの重さを理解した年下組のキラ・シュン・トミーの表情が、またとんでもなく良かった。
マッキーの本当の気持ちを確認したシャチョウは、悔しさを知ったことでマッキーはマッキーにしかない輝きを手に入れたのだと諭す。どうしても欲しい場所がある人間は絶対に輝く、それが自分の場所になるという光を見つけたのだと。
そしてラストシーン、マッキーがセンター交代する前のラストのライブ。このシーンを見たわたしは、いよいよ20話が“とんでもない神回”だと確信する。
 
追いかける背中がないまま手探りで走って来たマッキーの背中を見て走るカケルくんと、そんな2人の背中を見つめるファンという構図。あえての静止画。ラストの永ネバライブシーンのカット割が絶妙すぎて、一気に感情持ってかれる。— れこ (@reco_dayo) 2015, 2月 21
そこにカケルくんのモノローグが入ってからの仁義GREEN!素晴らしすぎる!— れこ (@reco_dayo) 2015, 2月 21
2期はこれまでずっと発表済の曲がエンディングに使われて来たけど、この2期でのひとつのターニングポイントになるであろう回で初出しの新曲を使ってくる手腕の高さも見事としか言いようがない。マッキーソロだけ発売延期で残念に思ってたけど、これでファンにとって嬉しい誤算になったのは間違いない— れこ (@reco_dayo) 2015, 2月 21
ジャニーズ帝國が存在する日本では、男性アイドルのセンター交代劇というものはあまり馴染みがない(と個人的には思っている)のだが、それをここまでリアルに泥臭く、そしてとびきり美しい少年の物語に仕立て上げる少年ハリウッドのスタッフ陣に拍手を送りたい。
そして何より、この「僕たちの延命」というタイトルに相応しい奇跡的な輝きを見せてくれた甘木生馬くんに、わたしは感謝している。マッキー、これまで少年ハリウッドのセンターに立ってくれてありがとう。センターでもセンターじゃなくても、マッキーの輝きをわたしは絶対に見失わない。

RECO_BLOG